皮膚腫瘍

皮膚のできものを皮膚腫瘍といいます。
腫瘍とは体の組織の一部が病的に変化して正常とは違う形で増殖したものです。
腫瘍は良性と悪性に大きく分けられます。
良性腫瘍は、一般に増殖が緩やかで生命に悪影響を起こさないもの。
一方、悪性腫瘍は近傍の組織に進入し、転移し、体を破壊しながら死ぬまで増え続けていくものです。

良性の腫瘍

ほくろ

ほくろは、色素細胞母斑・色素性母斑・母斑細胞母斑などと呼ばれます。
ほくろは、色素細胞(メラノサイト)というメラニン色素をつくる細胞が変化した母斑細胞と呼ばれる細胞のかたまりです。
母斑細胞もメラニン色素を産生するため、褐色から茶色の平らな色素斑や皮膚から盛り上がったイボのようになります。

→詳細はほくろのページをご覧ください。

粉瘤

粉瘤(ふんりゅう) は表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)とも呼ばれています。
皮膚の良性腫瘍の1つです。脂肪のかたまりと思われがちですが、表皮でできた袋のような腫瘍です。
皮膚の表面と細い出口で連絡している事が多く、つまむと中から白い物が出てくることがあります。
粉瘤の場合は、袋の中に「垢」がたまっていきます。
表皮の袋ですから、体のどこにできても不思議ではありません。
多発する人もいます。 炎症や感染を起こすと、感染(性)粉瘤とか、炎症性粉瘤と呼ばれています。

→詳細は粉瘤のページをご覧ください。

脂漏性角化症

紫外線の影響や皮膚の老化によってできる皮膚腫瘍です。高齢者の顔などに多く見られる少し盛り上がった茶色~黒色の表面が少しざらついたできものです。健康な皮膚に近い色調のものから黒色調のものまでさまざまで、大きさは数mmから2~3cmくらいで、わずかに盛り上がるものから突出したしこりになるものまであります。

眼瞼黄色腫

上下眼瞼の内側にできる黄白色の腫瘍のことをいいます。
皮膚にもれ出た脂質を組織球が貪食(どんしょく)し、泡沫(ほうまつ)細胞として組織に存在する状態です。

ガングリオン

関節周囲に生ずる、表面が平滑な腫瘍です。
皮膚とのつながりはなく、圧迫により生ずる事があります。
中にはゼリー状の粘液が入っていて、無症状の場合は様子を見る事も多いです。

悪性の腫瘍

悪性黒色腫

メラニン色素を産生する細胞(メラノサイト)が癌化したものが悪性黒色腫です。
皮膚の悪性黒色腫は黒く「ほくろ」のようにみえるので、「ほくろのがん」と言った方が理解しやすいと思いますが、通常の良性のほくろは簡単に悪性に変化するものではないと考えらています。
しかし、一般の方が良性のほくろと思っているもののなかに、悪性黒色腫の始まりのものがあることもあります。

基底細胞がん

高齢者の眼のまわりや鼻、耳の周囲などに好発する黒色から灰黒色の腫瘍で、ゆっくり増大するとともに中央が崩れて潰瘍をつくるようになります。
また、辺縁では灰黒色のつぶ(小結節)が真珠の首飾り状に配列するのが特徴とされます。
以上のような症状は悪性黒色腫でもみられるため、視診だけでは感別な困難な場合もあります。
転移は非常にまれで、原則としてまず転移しないとされています。
統計では基底細胞癌全体の0.1~0.5%に転移がありますが、転移するのはほとんどが再発例や巨大な腫瘍の場合です。
しかし、放置すると周囲に広がって組織を破壊していくため、治療が必要となります。

有棘細胞がん

皮膚の最も外側を成す表皮細胞が悪性化したもので、最初は硬いイボ状のしこりとして始まり、増大すると悪臭を伴います。
最初からくずれて潰瘍を作る場合やカリフラワー状に隆起するものもあり、多彩な形態をとります。

治療法

手術療法、凍結療法、薬物療法(外用)、※放射線療法、※化学療法があります。
また、免疫向上のために血液オゾンクレンジングや高濃度ビタミン点滴療法などもあります。
※当院では放射線療法、化学療法、手術療法、血液オゾンクレンジングや高濃度ビタミン点滴療法は実施しておりませんので、必要な場合は専門の医療機関にご紹介させていただく場合がございます。

手術療法

基底細胞がん以外は、腫瘍そのものだけを切除しても、再発や転移をおこす可能性がありますので、腫瘍の周りの正常に見えるところを含めて、幅も深さも余裕をもって切除する必要があります。
手術によって皮膚の欠損が大きくなった場合には、植皮術をはじめ、形成外科的な方法で傷を治します。(大きな手術に関しては入院治療のできる病院をご紹介します)

凍結療法

有棘細胞がんの場合は、液体窒素を使ってがん組織内の温度が-20~-50℃になるように冷やし、がん細胞を凍結壊死(えし)させる方法です。
浸潤の浅いがんはこの方法で治療が可能です。
凍結療法は治療時や治療後の身体への影響の少ない方法なので、高齢の方や持病のために身体の具合の悪い方にも適した治療法です。

薬物療法(外用:べセルナクリーム)

有棘細胞がんに移行する前の日光角化症の状態であれば、外用によって治療することもあります。
ベセルナクリーム5%は、週3回、就寝前に塗布し、起床後に石けんと水やお湯で洗い流す、また、4週間塗布後に4週間休薬するなど、使用にあたって遵守すべきいくつかのルールがあります。
副作用を減らし、高い効果を得るためにも、正しく使用することが大切です。

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